一昔前に夢の治療法になるかもしれないと期待された『遺伝子治療』。なぜ夢の治療法と言われたかというと、それは遺伝子にアプローチするという治療法にあります。
病気の多くは遺伝子がうまく働かなかったり、なんらかの原因で遺伝子が傷つくなど変異して起こります。そこに正常な遺伝子を外部から入れることで遺伝子の働きを正常に戻そうとするのが遺伝子治療です。遺伝子治療を用いれば、従来の治療法では治せなかった難病を克服できるかもしれないと期待されたわけです。
しかし死亡事故やいくつかの副作用がみられたことで一時期は停滞します。その後遺伝子の導入に使われるベクター(遺伝子の運び屋)が見直されると安全性が向上、多くの成功例が相次ぎます。近年では欧米を中心に承認薬が多く誕生するなど信頼を取り戻し、遺伝子治療の開発が活発化しています。
遺伝子治療は幅広い病気に応用されていますが、その中でも臨床試験の対象疾患として、がんが6割以上を占めています。遺伝子治療はがんに対してもその効果が期待される先端治療のひとつでもあるのです。
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